NOVUS HYBRID PIANO NV10S

Pianist Interviewピアニストインタビュー

大井 健さん

大井 健さん

3歳からピアノ教師の母親に音楽の手ほどきを受け、幼少からドイツ・イギリスにわたり、作曲家メンデルスゾーンの子孫から直接ピアノを学ぶ。
国立音楽大学付属音楽高等学校音楽家ピアノ科専攻を経て、国立音楽大学音楽学部器楽科ピアノ専攻を卒業。2015年ソロメジャーデビュー。
“作曲家とピアニスト”によるピアノデュオ「鍵盤男子」を作曲家・中村匡宏と結成、2017年メジャーデビュー。全国のコンサートホールを中心に超絶技巧を駆使した連弾で好評を博す。

今回、大井さんにはNOVUS NV10のプロモーションムービーに出演していただきました。撮影の時、「ずっと弾いていたい」という言葉がありましたよね。
ありましたね。自然に出ていました。
あの言葉、すごくいいなと思ってそのままキャッチコピーに使わせていただきました。どんな思いから出た言葉なのか、ぜひ教えてください。
NV10は、タッチの幅が無限に変わる、いろいろ試したくなるピアノですよね。
人によって表現は千差万別なんですけど、“自分だけの表現”を見つけていく作業って、時間がいくらあっても足りないんです。僕はアコースティックピアノに向かうと、その作業をしたくなる。でも電子ピアノの場合は、そういう気持ちにはならないんです。ねらった音がわかりやすくなってしまうので、ある程度割り切って弾く。
そこが、NV10は違った。デジタルピアノみたいな、わかりやすい黒と白だけじゃなくて、無限にグラデーションがあるという印象でした。それで「ずっと弾いていたい」という言葉が思わず出たんだと思います。
確かに、グランドピアノでの本番を想定して、求めている音や表現を狙った通りに出す…というハイレベルな練習をする場合、デジタルピアノではなかなか難しいところがあります。
そうですね。特にクラシックの世界では、音色がとても重要です。
例えば、ジャズだったらリズムや即興性、ひらめきなんかが音質よりも重視されますけど、クラシックは音色で哲学や芸術性を表現する世界なので。その音色がちゃんと出せるかどうかを練習で突き詰めていくことは、非常に大切です。
大井 健さん
ピアニストの方はもちろん、音大生など一定のレベル以上を目指す人にとっては、そういった練習は必要不可欠なんでしょうね。
そうですね。本番に近い状態、環境で練習しておくことはとても重要です。
陸上選手が日々の練習も本番と同じシューズで練習するとか、サッカー選手が普段から芝の上でパスの感覚を磨くとか。そういったことと同じで、ピアニストも、本番と同じように鍵盤と指の感覚や力の入れ具合を慣らしていかなければならない。いつもとぜんぜん違う道具を使ったら、誰だって満足なパフォーマンスはできません。その意味において、このNV10はすごくいい。グランドに近い感覚で、音色のディテールを指に覚え込ませる作業ができますよね。これはすごいことだと思います。
NV10は、グランドピアノアクションを搭載した“ハイブリッドピアノ”ですが、大井さんは今回実際に演奏されてみて、どんなシーンでの活用をイメージされましたか?
僕はこれ、練習だけに使うのはもったいないなと思いました。本番でもいい使い方ができるんじゃないかな。例えば、小さな会場での演奏会とか。グランドはとてもじゃないけど入らないけど、アップライトピアノだとあまりにも楽器を妥協したみたいに見えてしまう、という時。NV10だったら、フォルムもグランドピアノとアップライトピアノが合体したみたいでおもしろいですし、あえてこれを入れてるんだってことが観る人にもわかりますよね。
確かに、ハイブリッドピアノは新しいスタイルのピアノなので、観る人にとっては新鮮かもしれません。
ピアノを演奏する個人だけじゃなく、レストランやカフェ、バーなどの店舗に向けてアピールしていくのもいい手かもしれません。置いておけばすごくお洒落だし、演奏会もできるし。メンテナンスが必要ないのも、そういった方々にとっては非常に楽だと思いますね。音をしぼって弾くことも可能ですし。
ピアニストを呼ぶときに、グランドピアノのタッチ感で演奏できるっていうのは、大きなポイントになると思います。
デザインにもこだわっているので、演奏会などのシーンにもマッチすると思います。
高級感がありますよね。グランドピアノってすごく高級なものっていうイメージがあると思うんですが、NV10はその艶があって、同じ質感があって…所有欲が満たされるというか。このグランドピアノらしさのある脚とかもね。こういうこまごましたディテールへのこだわりが、全体のデザインイメージを高めているんですね。
ちょっとお聞きしたいんですけど、NV10はロゴやペダルがすべてシルバーになってるじゃないですか。基本的にアコースティックはゴールドのイメージがあったんですけど、これはあえてシルバーにされたんですか?
ハイブリッドというジャンルの新しいイメージや、最近のリビングデザインへのマッチングなどを考えて、モダンで都会的な印象を出せるシルバーになりました。
なるほど。めちゃくちゃカッコいいと思います、シルバー。
ダンパーペダルも色こそ違いますけど、ここだけ見たら完全にグランドピアノですよね。ペダルの突き上げ棒もあるし。これって、本物のダンパー機構が入ってるんですか?
はい。NV10はグランドピアノと同様にダンパー機構を搭載しているので、ダンパーペダルを踏んでいないときはタッチ感が重く、踏んでいるときは軽くなる特徴が再現されています。
“本物のグランドピアノアクション”に本当にこだわってらっしゃいますよね。かと思えば、カラー液晶タッチパネルみたいな最新のデジタル技術も入っている。ハイブリッド、おもしろいです。
多機能にすると、どんどんボタンが増えてしまうのが、デジタルピアノの悩みどころでした。タッチパネルにすることで操作性も解消しつつ、アコースティックのようなすっきりした見た目を実現できたと思います。
以前、本番でデジタルピアノを使ったことがあるんですけど、弾いてるうちに指がボタンに当たって、音が変わっちゃった。
大井 健さん
それは冷や汗ものですね。
そういう時用にスイッチ操作を無効化する機能もあったんですけど、セットしてくださった方はそれを知らなくて、そのままにしてあったみたいで。大きいパフォーマンスで弾いてると、どうしても触っちゃうので、鍵盤周りは何もない方がいいと思います。
NV10は出力の品質もかなりいいですけど、これってスピーカーとしても使えたりするんですか?
端子で外部のメディアと接続することもできますし、Bluetooth機能がついているので、スマホの音楽をワイヤレスで再生することもできます。
じゃあ、ピアノ・コンチェルトの練習もできますね。オケを流しながら弾けば。録音も端子出力でできるなら、YouTubeとかで演奏動画を配信する人にもいいかもしれませんね。アコースティックよりも高品質で録音できますし。ハイブリッドピアノは本当に幅広い活用方法があると思うので、これをきっかけにピアノを弾く人が増えてくれたらうれしいですね。
大井さんはご自宅でもグランドピアノを演奏されるんですか?
といっても、マンションに入れられる小さいサイズのものですけどね。実家にはセミコンがあるんですけど、東京で暮らすとなるとなかなか。あとは、演奏会などの際に持ち運べる練習用のデジタルピアノとDTM用にシンセサイザーを持っています。
大井 健さん
アパートやマンションに住まわれる方が多くなってきている昨今、住環境はピアノを弾かれる方にとって大きなネックになっていますよね。
楽器を演奏する人間にとって、住環境の課題は確かに多いですね。前回住んでたのは分譲タイプのマンションで、一応ピアノ可のところだったんですけど、ゴミ捨てのときに近所の方から「ドビュッシーいいですね!」とか言われちゃって(笑)僕の場合、練習が聞こえちゃうとネタバレにもなっちゃうし。それで今はYouTuberさんとかがいるような、完全防音のところに移りました。でも、そういうところって決して多くはないので、やっぱり住む場所とか条件は制限されちゃいますよね。
だけど、NV10だったら場所を選ばないから、マンションにも置けるし、小さい音でも弾ける。それでいて、タッチも完全に本番の練習ができるわけですから。
本当は2mくらいの奥行きがあるグランドピアノを買わないと、このタッチ感は手に入らないんです。それが、このコンパクトさで再現できる。NV10の良さは、そこがベースになっていると思っています。
実際、僕が持っている小さいグランドピアノよりも、NV10の方が表現力はぜんぜん高いと思いますよ。都市部に在住するアーティストの方、ピアニストの方には、自信を持ってNV10をおすすめしますね。